「YouTube」に最大級のマルウェア詐欺ネットワーク-巧妙な手口とその対策とは

研究者によって「『YouTube』上で確認された最大級のマルウェア作戦の1つ」とされる悪質な動画ネットワークが発見された。
Check Pointの研究者たちは米国時間10月23日、「YouTube Ghost Network」と名付けられた詐欺の実態を明らかにする報告書を発表した。このネットワークは1年以上にわたって追跡されており、YouTube上にホストされた3000本以上の悪質かつ詐欺的な動画がその中心を成している。
このネットワークは2021年頃から活動していたとみられ、動画は継続的に投稿されていたが、2025年にはその数が急激に増加し、3倍以上に膨れ上がっている。
YouTube Ghost Networkの仕組み
このネットワークに含まれる3000本以上の動画は、「高度なマルウェア配布ネットワーク」の一部とされており、視聴者の興味を引くチュートリアル形式のコンテンツが特徴である。内容は、無料またはクラックされたソフトウェア、ゲームのハックやチートなどを提供するというもので、「Adobe Photoshop」「FL Studio」「Microsoft Office」の無料版や、Robloxなどのゲームのハックが特に多く見られた。
動画には分かりやすい手順が添えられており、視聴者は「Google Drive」や「Dropbox」などからパスワード付きのアーカイブをダウンロードするよう指示される。その後、「Windows Defender」を一時的に無効にし、アーカイブ内のファイルを展開・インストールするよう促される。
クラックソフトを使おうとする場合、セキュリティ保護を無効にしたくなる気持ちは理解できるが、これは非常に危険な行為である。実際にファイルを起動すると、ユーザーはマルウェアを実行してしまったことに気づくことになる。
研究チームによれば、このネットワークは情報窃取型マルウェア、例えば「Rhadamanthys」や「Lumma」などの拡散に利用されているという。
さらに、このネットワークは単なる詐欺動画の集合体ではない。詐欺の運営者たちは、偽造されたYouTubeアカウントや乗っ取られたアカウントを使って動画をアップロードするだけでなく、リンクやアーカイブのパスワードを投稿したり、視聴者とやりとりしたりしている。コメント欄には肯定的なフィードバックが並び、クラックやチュートリアルが本物で安全であるかのように見せかけている。
例えば、約12万9000人の登録者を持つ乗っ取られたYouTubeアカウントが、Adobe Photoshopのクラック版を紹介する動画を投稿し、29万1000回以上の再生数を記録している。
さらに、偽のGoogle広告キャンペーンによって、これらの動画へのトラフィックが誘導されている。
Check Pointは「このモジュール構造により、作戦は迅速に拡大でき、アカウントの停止にも耐えられるため、削除作業は複雑かつ継続的なものになる」と述べている。
このような詐欺は他にも存在する。YouTubeのような人気の動画ホスティングプラットフォームは、設立当初から悪意あるダウンロードへ誘導する動画の温床となってきた。
2024年、研究者たちは「GitHub」上でも同様の詐欺を発見している。「Stargazers Ghost Network」と名付けられたこの詐欺では、GitHubのリポジトリーを通じて悪意あるリンクやマルウェアパッケージが配布されていた。偽アカウントがスターを付けたり、フォークしたり、購読したりすることで、リポジトリーを本物らしく見せかけて(…続きを読む)。
