現役警官が短編を執筆 タイトルは「栄光と転落」ゾワっとする内容に
止まらない特殊詐欺の被害の実態や被害者の心情を知ってもらおうと、神奈川県警が現職警察官による短編小説シリーズをホームページで公開中だ。
県警の犯罪抑止対策室はチラシやポスター、SNSなどで注意喚起をしてきたが「何か新しいツールはないだろうか」と部署内で声が上がった。
話し合いの末、読書が好きな人に向けて小説で注意を呼びかけようと決まり、読書好きの香川賢介巡査部長(39)が筆者に選ばれた。
同室で特殊詐欺対策を担当し、小説を書くのは初めて。気軽に読めるよう、400字詰めの原稿用紙10枚ほどの短編にした。イメージしたのは、小説家・星新一のショートショート。香川さんは、「短いもので落ちをつけて、ゾワっとするような恐怖めいたものが書けたらと思った」という。
第1話のタイトルは、『栄光と転落~甘い蕾(つぼみ)はソース味~』。65歳を迎える男性が、長年勤めた証券会社を定年退職した5年後に、SNS型ロマンス詐欺によって投資金名目でお金をだまし取られる話だ。1日に何十件も目にする特殊詐欺の資料を元に、「必ずもうかる」という文言や、データを見せてだます手口を書き、詐欺だと気づくポイントも盛り込んだ。
香川さんは、「詐欺はいつ自分の身に降りかかってくるかわからない。だまされる過程を知識として蓄え、自分を守る材料にしていただければ」と話した。
短編小説は県警HPで公開されている。第2話は(…続きを読む)。