「詐欺だと知らなかった」は認めない 「出し子」に逆転有罪 最高裁、末端の被告でも「共謀」認定の流れ
ニセ電話詐欺で口座から現金を引き出す「出し子」に対し、うその電話をかけて現金を振り込ませる行為に関わっていなくても電子計算機使用詐欺罪に問えるかが争われた刑事裁判の上告審判決で、最高裁第3小法廷(平木正洋裁判長)は11日、同罪を無罪とした二審仙台高裁判決を破棄し、逆転有罪とした。詐欺行為を直接していない出し子も共犯になると判断したのは初めて。
◆共犯者と意思が通じ合っていたと指摘
裁判官5人全員一致の結論。電子計算機使用詐欺罪は、うその情報によってATMなどに現金を振り込ませた場合に問われる。審理された事件で「出し子」だった松江勇太被告(43)は「現金を引き出すために待機を命じられただけで、犯行計画の全体を理解していなかった」と主張。第3小法廷は、詐欺行為で得た現金を引き出す可能性を十分に想定できたとして、振り込ませた「かけ子」らとの共謀を認めた。今後、同種事件の捜査に影響を与える可能性がある。
一審青森地裁八戸支部判決は、被害者をだまして現金を振り込ませる行為と引き出す行為は一体として有罪と判断。一方で二審判決は、現金を振り込ませる行為の手口などを知らなかったとして共謀を否定した。
第3小法廷は、被告が共犯者らの指示に従って行動して意思を通じ合っており、果たした役割も「犯行の目的を達成する上で極めて重要」とし、共謀が成り立つと結論づけた。
判決に(…続きを読む)。