トクリュウ関与のSNS型投資詐欺で「偽アプリ」横行か…元金の60倍超の虚偽の「利益」表示も
スマートフォン1台で金融資産の管理や取引ができる「投資アプリ」。株価の変動をチェックしたり、売買注文をしたりする上で欠かせないツールだが、「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」の関与が疑われるSNS型投資詐欺では、利益が出ているように装う「偽アプリ」を使った手口が横行している。京都府警が確認した被害の事例を紹介する。(林興希)
60倍の利益?
<1300ドル預金>
<80265ドル利益>
被害者のスマホに残されたアプリの画面。投資した元金1300ドル(約18万円)に対し、60倍超の8万265ドル(約1160万円)の利益が出たことを示している。アプリには投資した金融資産の推移を示すチャートも表示されていた。
被害者は、インスタグラムで知り合った「ファイナンシャルコーチ」と名乗る人物に勧められ、このアプリをインストールした。この人物はダイレクトメッセージ(DM)で自身を「長年の経験を持つ株式ブローカー」と説明。「大きな利益をもたらすことを可能にするソフトウェアと戦略を開発した」などと被害者に投資話を持ちかけた。
信用した被害者は、初期投資として元金分の暗号資産を送金した。その後、送られてきたLINEのリンクからアプリをインストールしたが、実態は利益が引き出せない「偽アプリ」だった。
アップグレード料
偽アプリ上の利益を確保したい被害者は、この人物に引き出しを要求した。ところが、この人物が提案したのはアカウントの「アップグレード」だった。
「アカウントを正常にアップグレードするには75万320円を入金する必要があります」「料金を支払うことで、8万ドル相当の利益を銀行口座に引き出すことができます」
追加での出資を求められた被害者だが、「追加の支払いがあるとは聞いていない」と元金分の引き出しを要求。振り込みが確認できればアップグレードするとしたが、相手が応じなかったため、府警に相談した。
府警特殊詐欺対策室は「利益の引き出しに手数料などが必要とうたう典型的な手口だ」と指摘。同室によると、アプリではなく、虚偽の利益を表示した投資サイトなどを利用する手口も確認されているほか、被害者を信用させるため、一部の払い戻しに応じるケースもみられると(…続きを読む)。