カネの魔力に取りつかれた日々 詐欺を助け、1日で500万円稼いだ「道具屋」の証言【仮面の罠 断て特殊詐欺】

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カネの魔力に取りつかれた日々 詐欺を助け、1日で500万円稼いだ「道具屋」の証言【仮面の罠 断て特殊詐欺】

 だましの「仮面」を次々と変え、高齢者から現金をだまし取る特殊詐欺グループ。卑劣な犯行を助長するのは電話や名簿、銀行口座などのツールだ。それらを調達し、詐欺グループに提供する存在がいる。「道具屋」と呼ばれる。2010年代半ばまで数年間、西日本の地方都市を拠点に道具屋を担ったという男が取材に応じた。「稼ぎは多い時で年5千万円以上」―。男は首都圏の詐欺グループを相手にツールの提供や「受け子」の仲介をしていたと明かし、特殊詐欺と暴力団の関わりも証言した。(特殊詐欺取材班)

 西日本のある地方都市の繁華街。取材班は10畳ほどの貸し会議室にカーテンの間仕切りを設置し、その男と向き合った。男は自らの素性について30代後半であることだけを明かし、「A」と呼ぶよう求めた。

 裏社会に詳しい人物をたどる中で浮上したA。顔を一切見せないことが取材の条件だった。特殊詐欺との関わりを尋ねると、抑揚の少ない声でこう説明した。

 「いわゆる『道具屋』をやっていました。逮捕されたことはないです」

■ヤミ金業者らからツール調達

 Aの証言によると、地方都市を拠点に道具屋をしたのは2015年ごろまでの数年間。全国的に特殊詐欺の被害が急増した時期と重なる。

 扱っていたのは銀行口座や携帯電話、高齢者たちの住所や電話番号が載った名簿などだ。そうしたツールを仕入れては、仲買業者のように詐欺グループへ流していたという。

 口座と携帯電話は、主にヤミ金業者が金を返せない顧客に開設、契約させたものだった。口座から金を引き出す通帳とキャッシュカードは一つ当たり5万~8万円で買い取り、12万円程度で(…続きを読む)。

 

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