すり替え詐欺への対応で炎上したメルカリ、新たな方針は信頼回復につながるか
フリマアプリのメルカリは、安心・安全なマーケットプレイスの実現に向けて新たな方針を打ち出した。「すり替え詐欺」などに対するサポートに利用者の不満が募り、SNSで炎上したためだ。一連の取り組みで利用者の不満を解消できるのだろうか。
詐欺に対する消極的なサポートに不満
国内ではフリマアプリの最大手であるメルカリ。だがそのメルカリを巡って、大きなトラブルが相次いでいる。その契機となったのは、2024年11月ごろに相次いで発生したすり替え詐欺だ。
これは、商品の購入後に別の商品にすり替えて返品する詐欺である。詐欺師は出品者に対して返金を要求。これにより詐欺師は金銭を取り戻して商品を詐取する。
メルカリにおいて同時期にすり替え詐欺が多数発生したため、被害者はメルカリに対応や救済を求めていた。
だがメルカリは、フリマアプリはC2C(Consumer-to-Consumer、個人間取引)サービスなので、取引で生じたトラブルは当事者同士で解決すべきだという姿勢を崩さなかった。そのため対応が後手に回った。
そのことに被害者たちは強い不満を覚えた。すり替え詐欺の被害状況とメルカリのサポートに対する不満をSNSに相次いで投稿。これがいわゆる「炎上」を招き、メルカリに対して大きな批判が巻き起こった。
これによりメルカリのイメージは大きく低下し、利用者離れにもつながった。メルカリには安心・安全の実現に向け、踏み込んだ対策が求められた。そこで同社は2025年5月21日に記者発表会を実施。安心・安全に関する「2つの約束」と「3つの取り組み」を発表した。
2つの約束は、不正利用者の「徹底的な排除」と利用者の「徹底的な救済」だ。そのための具体的な施策が3つの取り組みである。3つのうち2つが前者、1つが後者に関する取り組みだ。
詐欺の件数増加で状況が変化
不正利用者の排除に関する施策の1つが、AI(人工知能)技術を活用した不正監視の強化である。これまでもメルカリは、不正なアカウントの作成や利用者の不審な行動などを監視してきたが、AIを導入することでさらに強化するという。
AIに疑わしい行動を学習させたり、利用者のリスクをスコア化したりするなどして不正な利用者を特定。アカウントの利用を制限するとともに、刑事事件化や民事訴訟などで責任を追及するとして(…続きを読む)。