仕事先からの「代理購入依頼」は詐欺 警視庁、新たな手口への警戒呼びかけ

令和7年の特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺が過去最悪を更新するなど被害拡大が続く中、警視庁は詐欺グループによる新たな手口が確認されたと発表した。塗装業者や工務店に嘘の仕事を依頼し、物品などの代理購入を持ち掛けて金銭をだまし取るというものだ。警視庁は「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」による犯行とみて、警戒を呼び掛けている。
施設関係者名乗り
2月中旬、東京都文京区にある外壁塗装業者に、実在する介護施設職員を名乗る男から仕事の依頼があった。後日、引き受けた業者側に男から「ミスで備品の発注ができなくなり、代わりに発注してほしい」と消毒液100個分の代理購入を持ち掛けられた。業者側は消毒液販売会社だと伝えられた相手に連絡を取り、インターネットバンキングから指定された口座に145万円を振り込んだ。
ただ、「もっと買ってほしい」と重ねて要求されたことで業者側は不審に思い、介護施設に確認の電話をすると、仕事の依頼はなく、詐欺被害に遭ったことが分かった。
東京都世田谷区の塗装業者も1月、実在する老人ホーム関係者を名乗る女が持ち掛けてきた仕事の依頼をきっかけに、消毒液を代理購入する代金として3回にかけて現金計約530万円を振り込み、だまし取られた。詐欺グループは業者に、購入した消毒液1個につき数千円を上乗せして買い取り、依頼とは別に代理購入による利益が出ることも示唆していたという。
警視庁匿名・流動型犯罪グループ対策本部によると、今月中旬までに消毒液などの代理購入を持ち掛ける同様の詐欺、詐欺未遂事件は少なくとも計5件確認され、被害総額は約720万円に上るという。被害は都内以外でも確認されている。
受注者心理を突く
本来、依頼とは関係がない物品の代理購入を求められたにもかかわらず、なぜ業者側は応じてしまうのか。
同本部は、業者側が一度受けた発注を断られることを避けようとしたり、新規顧客を獲得するために丁寧な対応をしようとしたりするなど、詐欺グループが受注業者側の心理に付け込んで、金をだまし取ろうとしているためだとみている。また、物品の納入業者を名乗って、「施工期間に影響する」と、支払わなければ工事に関わる他の業者に迷惑がかかることを示唆して、振り込みを促すケースもあったという。
警視庁が確認した主な手口は消毒液の購入を持ち掛けるものだったが、同本部は「犯行グループは(…続きを読む)。
