突然届く「社長」のメール 新手の詐欺増加 1カ月で6億円超被害

まとまった休みをとった後、久しぶりに出社してパソコンを開く。たまったメールの中に「社長」からのメッセージがあった。さて、会社員はどうする――。
そんな状況を使った新手の詐欺が登場し、実際にだまされるケースが出始めている。
被害は、1カ月で6億円を超えたという。
「社長」かたる一通のメール
<お疲れ様です。業務対応のため、会社用のLINE(ライン)グループを新規に作成してください>
<一時的な作業用グループとして使用する。他のメンバーについては、こちらで後ほど判断のうえ追加する。(ラインの)QRコードを送ってほしい>
1月上旬、東京都内のある企業のベテラン社員にそんなメールが届いた。送信者の欄には、実際の社長の名前が表示されていた。
確認されただけで、営業や事業部門などの10人近くの社用アドレスに同じメールが届いていたという。
件名に、迷惑メールを示す「SPAM」と自動で表示されたこともあり、深刻に受け止めた社員はいなかった。送信元はフリーメールアドレスだった。
社員の一人は「関連会社の役員を名乗るメールもあったが、あり得ないシチュエーションで、受け取った社員もバラバラ。これにだまされるとは思えないが……」と話す。
1億円以上をだまし取られた会社も
ただ警視庁幹部は「こうした詐欺メールがいま、増えています」と指摘する。
実際の社長や役員の名前をかたって業務連絡を装ったメールを送り、現金をだまし取る手口が増えているとして、警視庁は1月から注意喚起を始めている。
2025年12月中旬以降、東京都内の43社で確認された(1月19日現在)。そのうち金銭をだまし取られた被害は14社で計6億7000万円に上る。
中には1億円以上をだまし取られた会社も2社あるという。
「社長に言われたら…」
警視庁匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ=匿流)対策本部によると、このような詐欺メールには、通信アプリでのグループの作成と招待を求める文面があるという。
ラインでは、経理担当者らを入れたグループを作るように求められるケースが多い。そして「取引相手の振込先情報を送るから今すぐお金を振り込んで」といった指示が来る。
実際に振り込むと、ラインは不通になる。
「『社長に言われたらやらなきゃ』となる人たちを狙っているのでしょう。現場の社員と社長に接点がないような大企業だけでなく、中小企業でも確認されています」と匿流対策本部の幹部は指摘する。
メールには多くの場合「指示した者以外は入れないように」と記される。少人数でのやり取りにすることで、発覚を防ぐ狙いが(…続きを読む)。
