フィリピンで暗躍のJPドラゴン、「ルフィ」一味との合流で犯罪集団へ変貌
フィリピンで活動する犯罪組織「JPドラゴン」が関与したとされる特殊詐欺事件を巡り、組織の実態が警察の捜査や幹部の公判で明らかになってきた。現地で闘鶏賭博や貸金などを展開していたが、特殊詐欺グループとの接点を機に数年前から犯罪集団の色を濃くしていったという。福岡県警は組織トップとみられる吉岡竜司容疑者(55)の逮捕状を取り、9月には構成員6人を逮捕するなど、事件の全容解明を進めている。
元々は闘鶏賭博や金貸し、車の輸入業など
「社長は吉岡。幹部に日本人がいて、フィリピン人スタッフが100~200人いた」
特殊詐欺事件に関与したとして、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益収受)に問われたJPドラゴン幹部の男(57)(福岡県新宮町)は、9月に大阪地裁で開かれた公判でこう述べた。被告は福岡県警に窃盗容疑などで5度逮捕(いずれも不起訴)された後、大阪府警に逮捕、起訴された。
公判によると、JPドラゴンは闘鶏賭博のほか、賭博やカジノで負けた日本人観光客らへの金貸し、飲食店経営、重機や車の輸入業を展開。「JPドラゴンと書かれたトラックがいっぱい走っている」と被告は供述した。
捜査関係者によると、JPドラゴンは2019年10月頃、フィリピンにある指示役「ルフィ」らの特殊詐欺グループの拠点を乗っ取り、仲間の一部を引き入れて手口を覚え、人員も拡大していったという。
福岡県警幹部は「『ルフィ』グループの仲間が合流したことが大きな転機になったようだ」と話す。
手の甲に「JP DRAGON」の入れ墨
現金を受け取る「受け子」や引き出す「出し子」のリクルーター役、被害金を管理する金庫番や運搬役、被害者名簿の手配役、全体の統括役――。
JPドラゴンで詐欺電話をかける「かけ子」のリーダー役だった男(受刑中)は元々、「ルフィ」らのグループに属していた。公判での男の証言によると、JPドラゴンはフィリピンのビルを拠点に、1グループ6~7人の「かけ子」でつくる三つのグループが詐欺電話をかけていた。「日本から一度に3000万~5000万円の被害金が運ばれていた」とも述べた。
左手の甲あたりに「JP DRAGON」の入れ墨がある被告の男。公判で、ゴムや帯で束ねられた100万円の札束を一度に数千万円分、日本で名前を知らない人物から受け取りフィリピンで組織の幹部に渡していたことや、組織から月額50万円をもらっていたことを供述した。一方、「詐欺による金とは知らなかった」と話し、無罪を(…続きを読む)。